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看護師の母親


私が幼稚園に勤めていた時、ひとり親家庭で、母親が看護師をしている兄弟の担任をした。もともと母親の勤め先の託児所に通っていたが、母親が一番下の子を妊娠し、産休・育休に入ったため、兄弟は小学校入学前の二年間だけ幼稚園に通うこととなった。
少人数で、年齢もバラバラな子どもたちが集まる託児所に通っていた二人は、とても自由だった。友だちと喧嘩をして砂を投げたり、叩いたりしたこともあり、周りの保護者からは冷たい目で見られてしまうこともあったが、私は二人がとても好きだった。
兄は、小学校に行ってからも、時々一人で幼稚園に遊びに来た。そんな時は必ず職員室に立ち寄り、「こんにちは。ちょっと遊んで行ってもいい?」と声をかけてくれた。挨拶がしっかりできるところは、母親のしつけなのか託児所での保育の賜なのか、とにかく長所と言えるだろう。ある時はスナック菓子の小袋を一袋、またある時は小学校の校庭でもいだであろうミカンを一つ、「これ、みんなで食べて。」と、職員に差し入れしてくれる、気遣い屋でもあった。
弟が年長になった時、母親は職場に復帰した。その時、弟を託児所に戻すかどうかで母親は悩んでいたが、あとわずかで卒園と言うこともあり、幼稚園に通うことを選んだ。
しかし、幼稚園は保育時間は9時から14時まで、延長保育を使っても17時までしか預かることはできなかったので、母親はいつも慌てて送り迎えをしていた。看護師と言う仕事もハードであるし、毎日の通勤を考えても、病院に併設されている託児所に預けた方が楽だったのだろう。しかし、母親は小学校に行く前に、同じ年齢の子との集団生活に慣れたり、同じ学校に行く友だちを作ることが子どもにとって一番だと考えたそうだ。
共働きの家庭では、どの家庭でもこういった問題には直面するのかもしれない。子どものためを思って、一番良いと思える選択をしたこの母親は、立派だと思った。

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